2013年１月19日
「シェールガス・シェールオイルについて」
話題提供 村田禅
頁岩（シェール）は地下深く（２，０００－３，０００メートル）に存在する固く薄片状にはがれやすい泥岩の一種。地下深く圧蜜作用を受け、石油や天然ガスの根源物質が熱分解を起こし、頁岩の中の微細な割れ目に閉じ込められている。地下深くまで縦穴を掘り、そこから、①水平掘削して横穴を作り、出来た穴に高圧の水を注入する②水圧破砕工法により、頁岩岩盤にヒビを作り、ヒビが出来る時の地面の振動を③マイクロサイズミック技術でモニターし、穴から水を抜くと、あとは自然にガスが発生してくる。今世紀に入りこれら３つの新技術が開発された事により、大幅なコストダウンが実現して、シェールの商業生産が可能となった。テキサス、アーカンソーから北東部ペンシルヴァニア、ニューヨーク州では天然ガス（シェール ガス）、北部ノースダコタ、モンタナ州から国境を越えてカナダに広がるバッケン フィールドでは石油（シェール オイル）生産が盛んである。現在、アメリカでは、シェールガス生産者、消費者、輸出業者を中心に、シェール ガスの適正価格が、市場原理で決まりつつあり、米国政府も調査・査定に乗り出している。アメリカと自由貿易協定を結んでいる国には、既に、シェールガスの輸出が始まっているが、自由貿易協定を結んでいない日本に対する輸出は、国益にかなうが、米国内の需給にどのような影響があるか、より精査してからになる見込みで、米国からのガスの一部が２０１５－６年ごろ日本にもLNGとして輸入される模様。なお、現在日本は価格交渉の努力不足のため、割高の天然ガスを輸入している。世界的には頁岩の岩盤は、中国、ヨーロッパ、南米に頁岩はあるが、インフラ整備、政治情勢等のため、発展には差がありそう。シェール ガスの生産規模は大きく、天然ガス以外の石炭や石油の世界価格も影響を受けていくものと思われる。シェールガスは、化石燃料ではあるが、石炭などよりは炭酸ガス排出量は少ない。